BIRDY
監督:アラン・パーカー
音楽:ピーター・ガブリエル
主演:マシュー・モディン,ニコラス・ケイジ,ジョン・ハーキンス,サンディ・バロン,カレン・ヤング,ブルーノ・カービイ,ナンシー・フィッシュ,ジョージ・“バック”・フラワー
1984年 アメリカ映画

 

 

「ミッドナイト・エクスプレス」のアラン・パーカー監督が、ベトナム戦争の後遺症で精神を病み、精神病院に収容され自らの殻に籠もってしまった青年と彼を立ち直らせるため励ます負傷兵との交流を描いたドラマです。
若き日のマシュー・モディンとブレイクする前のニコラス・ケイジが出ています。
ラストがすごく印象的で何回も観てしまいました。
主演の2人の演技が素晴らしく、地味なテーマなのについ引き込まれます。

 

 

監督のアラン・パーカーは、「ピンク・フロイド/ザ・ウォール」をはじめ音楽のセンスがすごくいい人ですね。
ジョルジョ・モロダーを起用してオスカー取ったり、「エンゼル・ハート」にコートニー・パインのサックスを起用したり、いつも驚かされます。
本作でも、UKロック界の重鎮ピーター・ガブリエルを起用しています。
イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド「ジェネシス」の初期のメンバーで,ボーカルとバス・ドラム(笑)を担当していました。
彼が在籍していた頃のジェネシスは結構好きだったのですが,
フィル・コリンズがボーカルをとってからは一気に大衆バンド化していったので残念です。
で,当の本人はソロとなりアフリカの音楽に傾倒,
アフロっぽいリズムとエレクトロニクスの融合という独特のサウンドを確立しました。
本作は彼の過去の作品をインストで再演したものを中心に構成されています。
その中でも僕のお気に入りは「バーディの飛行」と題されたアフリカン・ドラム風の躍動的な曲。
これは,ソロアルバム「Ⅲ」からの曲「Not One Of Us」が元ネタで,曲のラストで一気にアフロっぽく盛り上がる部分を抜き出し再構成してあります。
オリジナルのドラムはもっと乾いた音でしたが,本作では低音がかなり増幅されており,腹にズシリときます。
このドラムを叩いたのが,ソロ4作目までドラムを叩いていたジェリー・マロッタというドラマー。
絶妙なアフリカン・テイストを表現しており,よくもまあ白人がこんなフレーズを考えたものだと感心します。
大学の頃,この部分を耳でコピーして自分のドラム・ソロに応用してました(笑)。
その他の曲も今聴くとアンビエントな香りのする曲が多く,時代を先取りしていた人だなあと思い知らされます。
そのピーター・ガブリエルの最新作「Up」は,細部にわたって緻密に計算されたサウンド・デザインという雰囲気の作品で,もはやロックというカテゴリーを超越してしまってます(^^;)。