MEMOIRS OF A GEISHA
監督: ロブ・マーシャル 
音楽: ジョン・ウィリアムズ 
出演: チャン・ツィイー,渡辺謙,ミシェル・ヨー,役所広司,桃井かおり,工藤夕貴,大後寿々花,ケネス・ツァン,コン・リー
2005年 アメリカ映画

スティーヴン・スピルバーグ製作によるアーサー・ゴールデン原作のベストセラー「さゆり」の映画化。
9歳で花街に売られた少女が芸者として数奇な運命をたどる姿を,太平洋戦争直前の日本を舞台に描いています。
主役のさゆりにはなんと「LOVERS」のチャン・ツィー。
それに日本映画界から役所広司,桃井かおりらが脇を固めます。
少女から大人までを演じるということで童顔のチャン・ツィーが選ばれたのかもしれませんが,主役が日本人でないのはちょっと違和感がありました。
しかし日本文化の描き方は美化しすぎるくらい美しく描かれており,
昔の忍者映画のような勘違いした日本になっていないところに好感が持てました。
かなり細かいディティールにこだわった小道具やセットになっていました。
スタッフの中に当然日本人がいたのでしょうが,時代考証もかなりの水準ではないかと思います。
 
スピルバーグ製作ということで音楽はジョン・ウィリアムスが登板。
チェロのヨー・ヨー・マとバイオリンのイツァーク・パールマンが参加していて,それぞれソロを聴かせます。
全体的にウィリアムスのリリカルな側面が強調された作風になっていて, テーマ・メロディも聞きやすい美メロになっています。
あまりウィリアムスらしくない音ですが,本編とは上手くマッチしていました。
というより,ヨー・ヨー・マはチャン・ツィーが主演した「グリーン・ディスティニー」でもチェロを弾いていたので,劇伴の大半が「グリーン・ディスティニー」に被ってしまうのです。
自分の中でヨー・ヨー・マの音がチャン・ツィーのイメージに定着してしまっているのかも知れません。
日本の尺八奏者等も参加しているようなので,所々で「和風」なフレーズも出てきますが,
日本のメロディを直接意識したような曲は無く,アジアという大雑把なイメージの中で作られたような楽曲が並びます。
そんな中で4曲目は小太鼓や三味線?を多用したミニマルな音で,これはウィリアムスとしては珍しい新機軸となる音です。

 

ジャケ写真はポスターよりもトーンがくっきりしており、より美しい仕上がりです。