ROUND MIDNIGHT
監督: ベルトラン・タヴェルニエ
音楽: ハービー・ハンコック  
出演: デクスター・ゴードン、フランソワ・クリュゼ、マーティン・スコセッシ、ハービー・ハンコック、ロネット・マッキー、ボビー・ハッチャーソン

 

 

 

伝説のジャズ・プレイヤーとフランス人ジャズ愛好家との心の交流を描く実話を元に作られた作品。
50年代のパリを舞台に話が展開しますが、主人公のモデルとなったのはピアニストのバド・パウエルと言われています。
60年代には結構パリを拠点に活動するアメリカ人のジャズ・ミュージシャンがいたそうです。
主人公を演じるのは、映画は「ずぶの素人」であるサックス奏者デクスター・ゴードンですが、
とても素人とは思えない演技でその年のアカデミー賞にノミネートされています。
とにかく渋い映画で、パリの町並みやジャズ・クラブの雰囲気・・・・、どれを取っても絶妙な味を出していました。
さらに、本作のキモはなんと言っても現役の大物ジャズ・プレイヤーを大挙出演させ、しかもクラブで演奏までさせているという点でしょう。

 

 

 

音楽監督を務めたのは、ジャズ・プレイヤーであり何本か映画音楽も手がけているハービー・ハンコック。
サントラの仕事では、「欲望」「狼よさらば」等が有名です。
自身も劇中、ピアニスト役でちゃっかり出ています。
劇中で演奏するジャズメンを挙げてみると、
トニー・ウィリアムス(ds)、フレディ・ハバート(tp)、ロン・カーター(b)、ウェイン・ショーター(sax)、ジョン・マクラフリン(g)、ピエール・ミシェロ(b)等の蒼々たるメンバーです。
しかも劇中、このメンバーで実際に観客入れてライブを演ってるとこを撮してるのですから、一粒で2度美味しい作品になっています。
オープニング・タイトルは、セロニアス・モンクの代表曲であり本作のタイトルともなった「ラウンド・ミッドナイト」。
ハービー・ハンコック・トリオをバックにボビー・マクファーリンが例によってお得意のスキャットを披露しています。
ハンコックは本作で、アカデミー音楽賞を受賞しています。
似たような時期のジャズ映画にクリント・イーストウッドが監督した「バード」があります。
こちらの方は故チャーリー・パーカーが残した過去の演奏に現代ミュージシャンがデジタル技術を駆使してバックトラックを重ねるという技術賞ものの音楽作品でしたが、
現役ミュージシャンによる生の演奏の素晴らしさという点では、本作の方に軍配が上がるでしょう。