M. BUTTERFLY

監督: デヴィッド・クローネンバーグ
音楽: ハワード・ショア
出演: ジェレミー・アイアンズ、ジョン・ローン、バルバラ・スコヴァ、イアン・リチャードソン、アナベル・レヴェントン、シズコ・ホシ

 

1957年の戯曲「M・バタフライ」をなんとクローネンバーグが映画化した作品。
クローネンバーグといえば、ホラーやサイコものを連想してしまいますが、この作品は意外な感じがしました。
だから公開時はもちろん、ビデオ化されても当分観る気がしませんでした。
しかし、最近になってCATVで観て食わず嫌いだったことを知りましたm(_ _)m
主人公に悲劇が訪れるという点では、他のクローネンバーグ作品の流れをしっかり汲んでいました。
フランス外交官と京劇女優の恋を描いていますが、この女優には2つのとんでもない秘密があったというお話。
それが元で外交官に悲劇が訪れるという趣向で、なんと実話が元ネタだそうです。こんなことあり得るんでしょうか。
詳しくは本編を観てのお楽しみです。
それにしても、クローネンバーグは繊細な心理描写を描かせたらピカイチですね。

 

 

音楽は80年代以降クローネンバーグ作品を一貫して担当しているハワード・ショア。
本作は悲劇とはいえ、男と女(?)のロマンスが題材になっているので、
一連のクローネンバーグ作品に聞かれる救いようのないダークなサウンドとは一線を画しています。
プッチーニの「蝶々夫人」をモチーフにもってきたり、中国の京劇の音楽や大衆の歌等を織り交ぜています。
物静かで美しく哀しいメロディをクローネンバーグ自らの指揮で、ロンドン・フィルが演奏しています。
テーマ・メロはオリエンタルな響きを持った地味ながら印象的な音になっています。
これが劇伴で度々顔を覗かせます。
クローネンバーグ作品のサントラは、アルバム1枚聞くにはかなり厳しいというアルバムが多いのですが、
本作はそんな中でかなり聴きやすい音になっています。
とてつもなく地味なアルバムですが、結構気に入ってます。