JEANNE D'ARC
監督: リュック・ベッソン
音楽: エリック・セラ
出演: ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジョン・マルコヴィッチ、フェイ・ダナウェイ、ダスティン・ホフマン、ヴァンサン・カッセル、チェッキー・カリョ、パスカル・グレゴリー、デズモンド・ハリントン
1999年 フランス/アメリカ映画

 

 

リュック・ベッソン監督が「フィフス・エレメント」に引き続いてミラ・ジョヴォヴィッチを起用し、
ジャンヌ・ダルクを独自の視点で描いたスペクタクル・ドラマ。
イギリスとの百年戦争下のフランスで、敗退を続けるフランス軍に救世主のごとく現れ形勢逆転に導いていくも、最後には火刑に処せられる聖少女ジャンヌ・ダルクの悲劇を描いてます。
ボーイッシュに髪を切ったミラ・ジョヴォヴィッチが戦場を駆け回る姿は、
後に「バイオハザード」シリーズで活躍する彼女とちょっとダブって見えます。
「神のお告げ」で突然何かに取り憑かれたように奮起するジャンヌ・ダルクを、
英雄ではなくあくまで泥臭い普通の人間として描いていているところが特筆されます。
正気を失うほど神のお告げを信じる姿は、ある種の「狂気」すら感じさせます。
誰もが知っている結末へ向かって突き進む映像を、最後まで飽きさせずに見せるところはさすがです。
人力に頼った壮大でスピード感溢れる戦闘シーンは、「ロード・オブ・ザ・リング」の10年先を行ってました。
弓矢、投石器等のアナログな兵器を使った戦闘が迫力満点です。

 

 

 

 

音楽は、リュック・ベッソンの盟友エリック・セラ。
この人は、ロック出身なのに、本作では総勢150名に及ぶオーケストラのための楽曲を書き上げています。
ほんと器用な人だなあと思います。
この人、スタジオ・ミュージシャン出身なのでクラシックの教育は正規に受けていないはずなのですが、これには脱帽しました。
スコアリングにあたっては、中世的な音楽に固執することなく現代的な要素も加えた独自の音世界を表現しています。
「グレート・ブルー」にも出てくるソナー音っぽいシンセが出てきたと思えば、ジェリー・ゴールドスミスを彷彿とさせるストリングスが入っていたりもします。
この他に本作は宗教的な場面も多く、そこには崇高な「声」を表現した合唱がかぶせられています。
シンセは中世の時代にはありえない楽器ですが、あえてこれをオケの中に使ったのは、
現実離れしたジャンヌの行動を音で表現しているようにも思えます。
ただ、いつものアンダースコア系のアルバムなので、本編を観ずにサントラだけ聴くとちょっとキツイかもしれません。
アルバムのラストにイスラエルの女性シンガー「ノア」が歌う主題歌「My Heart Calling」が収録されています。