MILANO CALIBRO 9
監督: フェルナンド・ディ・レオ
音楽: ルイス・エンリケス・バカロフ
出演: ガストーネ・モスキン、バーバラ・ブーシェ、マリオ・アドルフ、フランク・ウォルフ、ルイジ・ピスティッリ、イヴォ・ガラーニ、フィリップ・ルロワ、ライオネル・スタンダー
1972年 イタリア映画
またまた、悪いクセが再発したようです。バチモンB級マカロニ・アクションをご紹介。
こんなもん、誰も知らない、観る気もないでしょうが・・・・(^^;)
タランティーノがリスペクトしていることで一躍注目を浴びたマカロニ・ギャング映画界の巨匠(と言い切っていいものか・・)フェルナンド・ディ・レオの代表作がこれ。
当然、日本では劇場未公開なのですが、タランティーノつながりで国内版DVDまで出ちゃってます。
しかし、タランティーノ効果というのはすごいもので、この映画、2004年ヴェネチア映画祭では特別上映されたそうです。
この監督は古くは「続・荒野の用心棒」、「星空の用心棒」、「皆殺し無頼」といったマカロニ・ウェスタンの名作の脚本を手がけ、
監督に転向してからは、「ザ・ボス/暗黒街の顔役」、「ゴッドファーザーを殺せ」(いずれも本邦劇場未公開(笑))といったマフィアものを撮ったりしています。
日本で公開されたアクション映画は、「皆殺しハンター」ぐらいかなあ。
マフィアの30万ドルが受け渡しの途中にそっくりそのまま消えてしまい、受け渡しに関係した3人がリンチを受け殺されますが、
金は出てこず、数年後、今度は刑期を終え出所してきた男に疑いがかかります。
男は自らの潔白を証明するため、マフィアに疑われたまま仲間に入り真犯人を捜しますが、その途中でまたもマフィアの金が行方不明になって・・・というストーリーです。
まあ、最初から突っ込みどころ満載のいつものマカロニ・アクションですが、
最初から「B級らしさ」「トホホ映画らしさ」を楽しむにはもってこいの1本です。
音楽は、なんとイタリアはミラノ出身のプログレッシヴ・ロック・バンド「オザンナ」。
これにイタリアの名匠ルイス・エンリケス・バカロフがコラボしています。
オザンナはギタリスト、ダニロ・ルスティッチを中心に1970年頃、結成された5人編成のプログレ・バンドで、
1972年にはイタリアン・プログレの金字塔とも言える名作「パレポリ」を発表、その地位を確立します。
一応1974年まで活動して解散、その後70年代後半に再結成、活動停止を経て90年代後半からまた活動を再開しているという噂を聞きますが、
真偽のほどは不明です。
このバンドの特徴は、数あるイタリアン・プログレ・バンドにありがちなクラシックとロックの融合という定番からはちょっとハズレていて、
イタリアのトラディショナルというか民謡とロックのダイナミズムの融合みたいなのを目指していたようで、一種独特の音を持ったバンドです。
本作では、彼らのカラーともいえるエリオ・ダナのフルート&サックスに被さる下品な「合いの手」や、ジミヘンばりのディストーション・ギターも健在で、
サントラといえどもオリジナル・アルバムに近い雰囲気のなかなかの演奏を聴かせます。
特に、ルイス・エンリケス・バカロフとのコラボ曲である、メイン・タイトルとエンド・タイトルは、
イタリアン・サウンドトラックらしい切ない感傷的なストリングスのメロディからジャズ・ロック・チューンへの移行がスリリングでカッコいい。
これをイタリアン・プログレッシヴの最高峰とまで評価する人もいるらしいですが、それは極端だとしても
映画音楽家とプログレ・バンドのコラボは、やっぱりカッコいい。
他の劇伴も、ジャズ・ロックにシフトしたアクション・チューンや彼らの独特の方法論で料理された曲の数々が収録されています。
冷静に聴くと変な曲もありますが、そこは勢いで聴き流しましょう(^^;)
CDはDVD同様、日本盤が存在します。
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