RED HEAT
監督: ウォルター・ヒル
音楽: ジェームズ・ホーナー
出演: アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェームズ・ベルーシ、エド・オロス、ピーター・ボイル、ラリー・フィッシュバーン、ジーナ・ガーション、リチャード・ブライト、J・W・スミス
1988年 アメリカ映画


麻薬組織の男を追って渡米したロシアの捜査官シュワルツェネッガーと典型的なアメリカのデカ、ジェームズ・ベルーシがコンビを組んで麻薬組織と戦うポリス・アクション。
アクション映画では定評のあった(過去形(^^;))ウォルター・ヒル監督がそつなくまとめたアクション映画です。
相変わらず無骨な男の映画という感じで、ヒロインらしい女性や子供は出てこなかったような気がします。
シュワちゃんがいくらターミネーターなキャラが強いからって、あれじゃあロシア人も怒るだろっていう感じで、
無機質で喜怒哀楽のない捜査官を演じています。お約束でシュワちゃんが強すぎるので、悪党もタジタジです。
ただ、いかにもヤンキー・デカという感じのジェームズ・ベルーシとのデコボコ・コンビぶりにもっとユーモアがあってもよかったかなという気もします。
なお、この監督、アクションを撮らせたらやはりピカイチで、クライマックスのバス・チェイスシーンの迫力はもの凄く、度肝を抜かれます。
この監督のことだから、確かCGは使ってないと思います。
キリル文字?によるクレジットに続く、冒頭の混浴サウナでのバトル・シーンが印象的です。
(こんなうれしいサウナってロシアにほんとにあるのでしょうか。)
サウナから飛び出て雪の中でふんどし一丁で殴り合うシュワちゃん、なかなかインパクトがあります。
ウォルター・ヒルって、90年代後半から急に面白くなくってきたような気がするのですが・・・、
SF「スーパーノヴァ」なんか途中で投げちゃったか、降板させられたかで、結局監督「トーマス・リー」で公開されてるし。
80年代初頭の勢いが懐かしいなあ(T_T)



音楽は、ジェームズ・ホーナー。
メイン・タイトルは、マイナーな曲調に混成コーラスといかにもロシア風で面白いのですが、
劇伴になると俄然いつもの「どっかで聴いた」ホーナー印のアクション・スコアになっちゃうのがちょっと残念。
この人、この頃はまだあんまり引き出しが多くなかったようで、SFだとみんな「スタ・トレ2」か「銀河伝説クルール」みたいになっちゃうし、
刑事ものになると、どれも「48時間」風になるのが困ったもんでした。
いわゆる自作の使い回し、他人の盗作よりはましですが、この金太郎飴的展開はあんまり頻繁だと食傷気味になるのも確か。
その中でも、本作はアクションものとSFものの中間のような雰囲気をもったスコアでした。
アーバンな雰囲気を出すためでしょうか、オケに混じってフュージョン風チョッパー・ベースやサックスが使われ、さらには尺八まで出てくるので、
「48時間」そっくりになっています。
でも演奏しているメンツは実はすごい。
サックスは、フランク・ザッパのバンドのメンバーだったこともあるイアン・アンダーウッドだし、
ベースはニール・スチューベンハウスだし、キーボードはマイケル・ボディッカー、尺八はカズ・マツイが担当しています。
劇伴の後半はメタリックなアタック音とエコーが続く中で各楽器が好き勝手なことをやる攻撃的で前衛風な曲が増えます。
残念なのは、せっかくのロシア風フレーズが劇伴でほとんど生かされていないことでした。
このモチーフを生かし切っていれば、劇伴を自作の使い回しで構成しなくても済んだのでは・・・・(^^;)
でも、今では巨匠の仲間入りをしているホーナーの若き日の仕事ということで、一聴の価値ある作品だと思います。
サントラはヴァージンからCDが出てましたが、今でも入手可能なのかな?