INSPECTOR CLOUSEAU
監督: バッド・ヨーキン
音楽: ケン・ソーン
出演: アラン・アーキン、フランク・フィンレイ、デリア・ボッカルド、パトリック・カーギル、ベリル・リード、バリー・フォスター
1968年 アメリカ映画



平日の過去記事アーカイブシリーズ・・・



「暗闇にドッキリ」と「ピンク・パンサー2」の間に製作されたシリーズ番外編といえるコメディ。
今で言うスピン・オフものと観ることもできますが、クルーゾー警部をピーター・セラーズからアラン・アーキンにバトンタッチしているので、
セラーズのクルーゾーに慣れ親しんでいる人には、違和感があってなかなか楽しめないかも。
アラン・アーキンもコメディアンとしては面白いのですが、セラーズのアクが強すぎて、アーキンのクルーゾーの方はどうしても見劣りがします。
まあ、セラーズは出てくるだけで笑えるので反則なんですが・・・・。
定番のオープニング・アニメもありますが、今回はクルーゾー警部しか出てきません。
ピンク・パンサーが出てこない。代わりに普通のドロボーが出てきます。
イギリスで連続発生した列車強盗事件を解決するため、ロンドン警視庁がフランスから高名な(?)クルーゾー警部を呼び寄せて事件の捜査にあたらせるというお話です。
ロンドン警視庁では、クルーゾーはシガレットケース型無線機、レーザー光線ライター、ベルトのバックルに仕込んだミニ・ミサイルなど、まるで007の装備のような物を支給されますが、
この小道具があちこちで騒動を巻き起こす時の小ネタになっています。
ストーリーにあんまりメリハリがありませんが、最初から最後までネタが詰まっているので笑えます。
かつてワーナー・ホーム・ビデオからレンタルビデオが出ていましたが、DVDにはなってないだろうなあ。
なお、本作品ではなんと後に数々のパチモン・マカロニ映画で活躍するイタリア美女デリア・ボッカルドがクルーゾーの助手役で出ています。
彼女は後に「死神の骨をしゃぶれ」、「デンタクルズ」、「超人ヘラクレス」等々といった素敵なパチモン映画にたくさん出ています。
そういえば、日伊合作の「窓からローマが見える」にも出てたなあ。





音楽は、イギリスのケン・ソーン。
オリジナル・シリーズの番外編なので、例のオープニング・アニメはあるものの、バックで流れるテーマ曲にはマンシーニ作曲によるピンク・パンサーのメロは一切出てきません。
クルーゾー警部のアニメなのに、あのテーマが全く流れないのはちょっと不満な気もしますが、
よくよく聴いてみるとライトでオシャレなサスペンス映画風のスコアで、派手さはありませんが優雅でなかなか味わいがあります。
劇伴もほどよくジャズのフィーリングを取り入れていて、マンシーニの劇伴をなんとなく意識したような作りになっています。
この人は、リチャード・レスター監督とのコラボが多い人で、ビートルズの「HELP!四人はアイドル」や「スーパーマンⅡ/冒険編」、「スーパーマンⅢ/電子の要塞」等が知られています。
でも、サントラがほとんど発売されない不遇な人でもあり、「ジャガーノート」、「パワープレイ」といった70年代サスペンス・アクションにいいスコアを書いているのにどちらも音源化されていません。
LPが発売されたものも、CD化されることなくそのまま埋もれてしまったり、大変残念です。
本作もそんな1枚で、本編自体がシリーズの鬼っ子扱いですから余計だと思います。
同じイギリス産のシリーズなのに、「007」の鬼っ子「カジノ・ロワイヤル(1967年版)」はCD化されているのに、
こちらは全く相手にされないっていうのも可愛そうな話です。



・・・と、ここまでが過去記事。

その後、2009年に米kritzerlandレーベルから1000枚限定でCDが発売されました。2008年の12月にこの記事を書いて1年後にCDが発売されて、とても嬉しかった覚えがあります。
ダウンロード版は残念ながら発売されていないようです。ケン・ソーンのサントラは、その後いくつか発売されていて、「パワープレイ」もBuysoundtraxレーベルから今年めでたく発売されています。