STAR TREK 2 THE WRATH OF KHAN
監督:ニコラス・メイヤー
音楽:ジェームズ・ホーナー
主演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフオレスト・ケリー、リカルド・モンタルバン、ジェームズ・ドゥーアン、
ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス、ウォルター・コーニッグ、カースティ・アレイ
1982年 アメリカ映画



・・・平日の過去記事アーカイブシリーズです。




前作があまりに哲学的になりすぎた反省からか、コンパクトになって娯楽性が増した人気SFシリーズ第2弾。
今回は、TV版の1エピソード「宇宙の帝王」に出てきたカーンが出てきて、エンタープライズ号に戦いを挑むという分かりやすいお話になっています。
ただ、TV版のスタ・トレを知らない人には「カーンって誰?何でカーク船長たちと敵対してんの?」等と疑問がわき上がることは必死。
トレッキー以外はその辺を割り切って観ないとちょっとキツイかもしれません。
カーンって劇場版第1作目にも出てこないから、事前におさらいすることが難しいのが難点です。
カーンというのは、宇宙を漂流していたところをエンタープライズ号に救助されたのに、
助けてくれたスペースシップを乗っ取ろうと、恩を仇で返すようなことをして逆にやっつけられ、よその星に追放されます。
それ以降、ずっと復讐の機会を狙っていたという逆恨みもいいところのおっさんです。
前作は内容的に小難しい部分もあったことから、今回はスペースシップ同士のバトル・シーンを始め、ILMによる迫力あるSFXを駆使したアクションを楽しむことが出来ます。
お馴染みのオリジナル・キャストに加えて新キャラとして、カースティ・アレイがバルカン人とロミュラン人の混血女性サーヴィックを演じています。
この人って美人なんですが、3作目以降では降板させられたようです。
(3作目では ロビン・カーティスが同じキャラを演じてます)なお、本作ではミスター・スポックの身にサプライズが起こります。
これが次回作へと続くのですが・・・、ネタバレになるので省略します。




音楽は1作目のジェリー・ゴールドスミスに替わって、まだ20代だった若き日のジェームズ・ホーナーを大抜擢。
この人、ニュー・ワールド・ピクチャーでB級作品の映画音楽を手掛け始めてから数年でメジャー・デビューですから、かなりの出世だと思います。
前作でゴールドスミスが作曲した有名なテーマは今回はあえて使わず、
オリジナルTVシリーズでアレキサンダー・カレッジが作曲したテーマ曲をモチーフに使っています。
前作に比べて娯楽性の高い内容になっているので、劇伴の方も比較的派手に鳴らしています。
「銀河伝説クルール」や「「宇宙の7人」で聴かれた優雅で躍動感あるSFスコアのエッセンスがここでも生かされています。(はっきり言えば使い回しなんですが‥‥・(^^;))
この人は初期に確立したスコアのスタイルやメロを何度も自作で使い回すのがクセのようで、
アクションの要素の強いSFスコアはだいたいパターンが決まっています。
本作で確立したアクション・シーンのスコアは、他のジャンルの作品にも使い回しされていて、
驚いたことに「地獄の7人」や「ウルフェン」にまで顔を出します。
さらには新しいところでは、「パーフェクト・ストーム」にまで本作からの使い回しの痕跡が認められます。
このような金太郎飴的なスコアを書く人ですが、スコアリングの早さと上手さには定評があるようで、
結構映画界では重宝されてきたようです。
この人は、どちらかと言えばアクション・スコアよりもリリカルなストリングス系のスコアの方にオリジナリティ溢れる豊かな表情を見せるような気がします。
サントラ盤は、スター・トレックものの宝庫、米GNPレーベルからCDが発売されていましたが、現在では廃盤です。
今ではオークション・サイト等でとんでもない高値が付けられています。
僕はLPしか持ってないのですが、近所の電気店のCDコーナーでこのCDを見つけていたのに
「どうせ誰も買わないだろう」と安心していたところ、そのうちCDコーナーがつぶれてしまい、
CDも既に廃盤だったことが分かり、大変悔しい思いをしたことがあります。
この時僕は、やはり欲しいCDは我慢せず思い立った時に買うべきだと悟ったのでした。
スコア盤のサントラって、そんなに数が売れないから、せっかく発売されても短命なんだよなあ。
「いつまでも あると思うな スコア盤」という感じですね。



・・・と、ここまでが過去記事。

その後、2009年に23曲74分収録の長尺盤が発売され、今ではGNP盤と同内容のダウンロード版も出ています。