TRIPLE CROSS
監督:テレンス・ヤング
音楽:ジョルジュ・ガルバランツ
主演:クリストファー・プラマー、ユル・ブリナー、ロミー・シュナイダー、ゲルト・フレーベ、トレヴァー・ハワード、クロディーヌ・オージェ
1967年 アメリカ映画


「007」シリーズでお馴染みのテレンス・ヤング監督が実在の人物エディ・チャップマンをモデルにした小説を映画化した戦争スパイ・アクション。
キャストは国際色豊かで豪華な配役がなされています。
原作はフランク・オーエンの「エディ・チャップマン物語」。
このエディ・チャップマンという人、強盗で捕まって刑務所に入って以来、釈放を条件にドイツ軍に協力したり、イギリス軍のスパイをやったり、
レジスタンスに手を貸したりといろんなところのスパイをやった三重スパイだそうです。
第二次世界大戦前夜、クリストファー・プラマー演じるチャップマンが、強盗の罪で孤島にあるイギリスの刑務所に収監されます。
その後、この刑務所を訪れたドイツ軍将校から釈放の交換条件にドイツ軍でスパイとして働くことを依頼され、これを引き受け、ドイツ軍でスパイとなる訓練を受けます。
そしてドイツ軍のスパイとしてイギリス国内にパラシュートで降下しますが、イギリス情報部に直行してドイツ軍の情報を教えるかわりに釈放を要求しますが、
逆に半強制的に今度はイギリス軍のスパイをさせられてしまいます。
2重スパイとしてドイツ軍に戻ったチャップマンは、うわべはドイツ軍のスパイとして勲章をもらったりしますが、裏ではドイツ軍の情報をイギリス軍に流したり、レジスタンスに協力したり・・・・というお話です。
この映画がパリで撮影されていた頃、ちょうど「将軍たちの夜」や「パリは燃えているか」の撮影もパリで行われていたそうで、
撮影用の軍服が品薄になってしまって、お互いに貸し借りして撮影していたそうです。
この映画でユル・ブリナーが着ていた毛皮の付いた軍用コート、なかなか他の戦争映画ではお目にかかれないレア物だそうです。


音楽は、フランスのジョルジュ・ガルバランツ。
この人、いいスコア書くんですが、何故かCD化された作品が極端に少ないのです。
手がけた作品があんまりヒットしなかったのか・・・決してそんなことはありません。
でも、アクション映画が多いので、時代と共に古臭くなる本編と共に忘れ去られる運命にあるのかも知れません。
70年代になると、「ダイヤモンドの犬たち」等のレア・グルーヴっぽいスコアも手がけるようになるのですが、
本作を含む60年代のサスペンス・スコアは、比較的オーソドックスなスコアとグルーヴィーなスコアの中間的な手法の作品が多いように思います。
メイン・タイトルが正にそんな感じで、フル・オケによる演奏とバンドっぽいエレキとドラムが同居していて、
思い切りグルーヴィーになりきれずに、ちょっともたついた感じでビートが存在する戦争映画には珍しい曲です。
劇伴はそんなことなくて、いたってオーソドックスな当時のスコアという感じの仕上がりです。
アンダースコアが中心ですが、中にはパリをイメージしたアコーディオン(ストリート・オルガン?)をフィーチャーした曲、
ジャズ、ソースミュージック風のマーチ等が収められています。
LPでいうところのB面にメイン・タイトルのボーカル・バージョンが収録されています。
これはモロ当時のポップスという感じです。
歌っているは、トニー・アレン。
歌い方がまだ青臭いですが、テレンス・ヤングの意向なのか、思い切り007っぽいのがニヤリとさせられます。
僕はアメリカ盤のLPを持っているのですが、ノイズがひどく、CD化を待っているのですが、
劇伴の古くささが災いしてか、メディア化される見込みは薄いかなあと半分諦めているところです。
本編とは関係ないですが、どうしてアメリカ盤LPの中古って盤質が悪いものが多いのでしょう。
アメリカ人のレコードの扱い方が手荒なのか、僕がなるべく安く買おうとするのがいけないのか・・・。