CONQUEST
監督:ルチオ・フルチ
音楽:クラウディオ・シモネッティ
主演:ジョージ・リヴェロ、アンドレア・オキビンティ、サブリナ・シアニ、ヴィオリータ・セラ、コンラード・サンマルティン、マリア・スコーラ
1984年 イタリア映画


イタリアン・スプラッターのキング、ルチオ・フルチ監督が放つ唯一無二のトホホ・ヒロイック・ファンタジー。
ビデオのパッケージ等を見ると「コナン・ザ・グレート」あたりを想像する人もいるかと思いますが、それは大間違い。
舞台が地球じやないところからして、なんだか妙な具合。
これもパチモン映画の範晴に入れてもいいかもしれないです。
頭が悪くてコソ泥までやっちやう青年が真の勇者になりたくて、惑星征服を企む暗黒の邪神オクロンに立ち向かうため先祖代々伝わる伝説の弓矢を武器に旅に出る‥というお話。
旅の途中で、一人の男に助けられて一緒に旅を続けることになりますが、この男の存在が物語の大きな鍵を握っていて、
なんとこの映画のクライマックスでは衝撃の主役交代劇まで用意されています。
本編は最初から最後まで変なソフトフォーカスがかかっていたり(手垢でカメラレンズが曇っているだけかと思いました)、
突然、ブルーやレッドのフィルターがかかったような映像になったりするし、観づらくてしょうがありません。
脚本が貧しくてエピソードは同じようなことの繰り返しで、観ていて退屈この上ない。
青年が持つ黄金の弓矢も、お粗末なアニメーションの合成です。
おいおい、弓矢に「ピョ~ンピョ~ン」って音はないだろ~って感じです。
邪神に仕える女性が終始半裸なのですが、変な仮面を被っていて全然エロくないので、一つも嬉しくない。
正に観客不在の開いた口が塞がらない作品ですが、さすがスプラッターの王様だけあって、
グロ描写は手抜き無しで、生贄となった女性の股裂きシーンがあったり、やっぱりフルチの定番「ゾンビ」が出てきたり、やりたい放題です。
C級映画やマカロニ・スプラッターが好きな人には案外楽しめる内容となっています。
フルチ監督、何を撮ってもどうしても地獄の門とかゾンビとかが出てこないと気が済まなかったようです。
なお、本作には「星空の用心棒」や「情無用のコルト」等のマカロニ・ウェスタンに出ていた
コンラード・サンマルティンが出ているので、往年のマカロニ・ファンには懐かしさ満点です。


音楽は、元「ゴブリン」のクラウディオ・シモネッティ。
ハッキリ言って、これがあの「フェノミナ」や「デモンズ」を手掛けたシモネッティと同一人物なのかと疑わせるくらいチープでお粗末な音でビックリします。
「ゴブリン」の雰囲気など微塵も感じられません。
フルチ監督の事ですから、音楽にほとんど予算を取らなかったのだと思いますが、それにしてもこのカシオトーンで作ったようなスコアはなんなんでしょう。
同じプログレ勢では、EL&Pのキース・エマーソンもフルチ監督の「マーダロック」を手掛けていますが、
これもとてもエマーソンの作品とは思えないほどシケた音。
もしかして、監督の強い意向でわざとこんなチープな音にさせられているのでしょうか。
そう思えてしまうくらい安っぽい音になっています。
クラウディオ・シモネッティのフィルモグラフィーの中で1、2を争う凡作と断言して良いでしょう。
こんなトンデモ映画ですが、なんと本国イタリアやドイツでは他作とのコンピレーションという形で複数のCDが発売されています。
どちらのコンピ盤にも、本作からは9曲がエントリーされています。
しかし・・・、上のイタリア盤のジャケ、ひどいなあ(^^;)
熱心なシモネッティのファンであれば、資料的価値という点では極めて貴重な作品なので持っていて損はないと思いますが、
ビギナーは絶対手を出してはいけない作品です。
僕が紹介するパチモン映画の中では、珍し<音楽までカスな希に見る愛すべき駄作です(*^_^*)