CHARLEY VARRICK
監督:ドン・シーゲル
音楽:ラロ・シフリン
主演:ウオルター・マッソー、ジョン・ヴァーノン、アンディ・ロビンソン、シェリー・ノース、フェリシア・ファー、ジョー・ドン・
ベイカー
1974年 アメリカ映画


平日じゃないけど、過去記事アーカイブシリーズ・・・



主演がウオルター・マッソーだからでしょうか、ドン・シーゲルの傑作アクションなのに、知名度が今ひとつの作品。
公開当時はかなり話題になったのではないかと思いますが、80年代がリアルタイムの僕の周りでは案外知ってる人が少ないという映画です。
銀行強盗4人組がのどかな田舎町の銀行を襲い現金を強奪しますが、
その金は実はマフィアの隠し金だったことから、強盗で生き残った2人が警察とマフィアの両方から追われる羽目になるというお話。
マフィアは殺し屋を送り込み2人を追い詰めていきますが、
この殺し屋を演じたジョー・ドン・ベイカーのニヤニヤしながら相手を痛めつける冷酷ぶりが印象に残ります。
映画のオープニング・シーンののどかな風景から一転、銀行強盗、逃走劇、そして車とプロペラ機のチェイスシーンまで、テンポの良いアクションが展開します。
この辺はさすがドン・シーゲル監督、切れ味鋭い演出も手慣れたものです。
主演のウオルター・マッソーは、ここでは時折淋しげな表情まで見せる無口な飛行機乗り=犯罪者を演じています。
この人の70年代のクライム・アクションでは、この「突破口」と「笑う警官/マシンガン・パニック」、「サブウェイ・パニック」がベストだと勝手に思ってます。
なお、ウオルター・マッソーの相棒役に、「ダーティ・ハリー」で凶悪犯サソリを演じたアンディ・ロビンソンが出ています。



音楽は、ラロ・シフリン。
残念ながら本作はCDはおろかLPも発売されたことが無い不遇な作品。
かといってスコアがつまらない訳ではな<、むしろ傑作の部類に入るくらいの名スコアだと思っています。
もう少し言えば、この映画はテーマ曲よりも劇伴の方が聞き所が多い作品です。
オープニング・テーマは冒頭、フォーキーな雰囲気の和やかな始まり方をして、それがだんだんレアグルーヴぽくなりますが、
アクション・スコアという感じではありません。
その一方で劇伴のアクション度は高く、
エマーソン・レイク&パーマーの「タルカス」を思わせる変拍子(5拍子?)のジャズ・スコアがとてもスリリング。
他の劇伴もシフリンのジャズにシフトしたアクション・スコアの美味しいとこを抽出したような曲が並んでいます。
なんでこの作品がCD化されないのか不思議でなりません。
ラロ・シフリンのレーベル、Alephも「ダーティ・ハリー5」をメディア化する前に、
この作品や「スカイ・ライダーズ」、「オフサイド7」、「パトル・クリーク・ブロー」等をCD化して欲しいなあと思います。
やぱり、シフリンは60~70年代のスコアが最高ですね。
80年代後半以降の作品はどうもイマイチなのが多<て残念です。
最近では、かろうじて「ラッシュ・アワー」シリーズが頑張ってますが、
それでさえ往年のパワーに比べるとかなり抑え気味。
昔のようなパワフルなスコアはもう書いてくれないのでしょうか(T_T)




・・・と、ここまでが過去記事。

依然としてサントラは発売されませんが、2012年にラロ・シフリンのサントラやオリジナル作品からの音源を集めた「lalo schifrin my life in music」という4枚組のCDが発売されました。

この中に、本作品から「bank robbery」と「last of the independents」の2曲が収録されました。

なんだ、音源あるじゃんか、と思ったのですが、その後フルアルバムがリリースされる気配はなく今に至っています。

4枚組は自身のレーベルalephから発売されているので、リリースしようと思えば出来るんじゃないかなあと思うのですが、音源が全部は残ってないのかなあと思ったりしてます。