THE HUNTED
監督:J・F・ロートン
音楽:鼓童
主演:クリストファー・ランバート、ジョン・ローン、ジョアン・チェン、原田芳雄、夏木マリ、島田陽子、岡田真澄、マイケル・ウオーレン
1995年 アメリカ映画


日本を訪れたアメリカのビジネスマンが謎の忍者集団による殺人事件に巻き込まれ、
命を狙われる羽目になるというお話。
お話のバックには、忍者集団とかつて彼らに先祖を惨殺されたサムライの子孫との対立が描かれます。
しかし、この映画のトホホ度ときたら、パチモン・マカロニ映画に匹敵するものがあります。
80年代アメリカで流行ったB級トホホ・ニンジャ映画の豪華版とでも言えばいいのでしょうか、
ぽんとメチャクチャなストーリーや突っ込み所満載の映像は唖然とします。
この監督、「プリティ・ウーマン」の脚本を手掛けた人なんだそうですが、
とても同じ人が手掛けた映画だとは思えません。
一番の失敗は、J・F・ロートン監督が日本の文化を十分理解できておらず、中途半端に日本の時代劇のファンだったこと。
日本を完全に誤解している‥‥・。
日本の著名な俳優が大挙出演しているのに何も言わなかったのでしょうか。
トホホ・シーンには枚挙に暇がないという感じで、
新幹線(もどき)が出てきて、運営する会社はJRならぬJER、しかも出発駅と終着駅で先頭車両がすり変わっていたり、
字幕で観るとよく分かるのですが、出演者の間では英語、日本語、片言の日本語が乱れ飛んでいます(^^;)
さらには、ニンジャの鎧がクラリーノのランドセルの生地ではないかと思わせるほどビニールっぽいもので出来ていたりします。
また、新幹線もどきにランパートが逃げ込めば、ニンジャたちは「彼が変装しているかも知れない」という理由だけで、
新幹線もどきの罪もない乗客たちを片っ端から斬り殺します。
このひどすぎる情無用の皆殺しシーンを女ニンジャ役の夏木マリが嬉々として演じています。



音楽は、日本が世界に誇る和太鼓パフォーマンス集団「鼓童」。
この人達は、サントラで言えばタン・ドゥンが音楽を担当した「HERO」での演奏がよく知られていますが、
フル・スコアを手掛けたのは本作が初めてではなかったでしょうか。
和太鼓のパフォーマンスって視覚的にはかなりインパクトがありますが、
これを音だけ抽出して聴くと、サウンド的には変化に乏しいためかどうしても単調な感を拭えません。
本作もパーカッションを中心に録音されており(当たり前か(^^;))、ヴィジュアルが伴わないため鼓童の魅力を十分には引き出せていないのが残念です。
録音レベルもかなり低めで、和太鼓の腹にズンと来る迫力ある音が十分表現しきれていないように感じます。
メイン・テーマ7分に及ぶ力作ですが、ほとんど和太鼓だけで演奏されており、
実験的という意味では斬新なスコアです。
アクション・シーンの劇伴もこの手法で演奏されていますが、
あえて欲を言えば、メロを奏でる楽器をもう少し前に出した方がスコアとしては良かったような気がします。
リズム主体の音楽はメロが希薄なため、どうしても自己主張が足りないのが残念なところです。
篠笛等をもっと効果的に使う方法があったんじやないかと素人考えで勝手に思ってますが、
決して嫌いなスコアではなく、結構愛聴してます。
僕は和太鼓の響きや「神楽」の演奏には幼い頃から「燃える」ものを感じるのですが、
つくづく自分も日本人なんだなあと感慨にふける今日この頃です。
そういえば最近ドラム・セット全然叩いてないし、そろそろ路線変更して和太鼓っていうのも素敵だなあ(^^;)

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