「アメリ」でそれまでのキワモノ監督のイメージを払拭したジャン=ピエール・ジュネ監督が、「アメリ」のオドレイ・トトゥを再度起用して描いたラブ・ロマンス。原作はフランスのベストセラー小説『長い日曜日』。
 
 
 第一次世界大戦を背景に、婚約者の戦死の報せを受けた女性がその生存を信じて、愛する人を捜し歩くというストーリー。
 鬼才ジュネ監督だけあって、映像美がすばらしい。アカデミー撮影賞も取ってます。ただ、R-15指定というのが納得いかない。(戦闘シーンがけっこう激しく、戦死していく兵士の姿がリアルだからかもしれません。)
 
 
 音楽は、ジュネ監督の「ロスト・チルドレン」も手がけたアンジェロ・バダラメンティ。「ツイン・ピークス」等のデヴィッド・リンチ作品でおなじみの人で、この人の書く曲は退廃的なジャズっぽいイメージが強いんですが、今回は別の顔を見せています。
 
 
 どちらかといえば、ガブリエル・ヤレーの音に似てます。ジャケもなんとなく「イングリッシュ・ペイシェント」風。同じ戦争映画で言えば、ハンス・ジマーの「シン・レッド・ライン」にも雰囲気が似てます。
 
 
 全体を通してストリングス中心の音になっています。戦争を背景にしてますが軍隊をイメージしたマーチ調の曲は無く、「燃え」ません。 しかし、このストリングスの調べはハマリます。
 
 
 ラブ・ロマンスのスコアは苦手なのですが、これは気に入りました。ジュネ監督、前作「アメリ」でのヤン・ティルセンの起用といい、音楽のセンスも抜群です。