THE PASSION OF THE CHRIST
監督: メル・ギブソン 
音楽: ジョン・デブニー
出演: ジム・カヴィーゼル,マヤ・モルゲンステルン,モニカ・ベルッチ,ロザリンダ・チェレンターノ,クラウディア・ジェリーニ,ルカ・リオネッロ
2004年 アメリカ/イタリア映画

 

 

メルギブソンが私財を投げ出して作った一大宗教映画。
構想12年,どうしても作りたかった映画だそうで,相当気合いが入っています。
キリストが十字架に架けられるまでの最後の12時間のみにスポットを当てて描いています。
だから,本編が始まって間もなくキリストは大司祭らによって捕らえられてしまいます。
本編の半分以上,キリストが拷問され,十字架を引きずって歩くシーンに費やされています。
拷問シーンや十字架に杭に打ち付けられるシーンは,ホラー映画も真っ青な特殊メイクが施されています。
あまりに執拗で残忍な残酷描写に,全米ではショック死した観客がいたそうです。
メル・ギブソンは「ブレイブ・ハート」でもそうでしたが,拷問シーンに重点を置く傾向があるような気がします(^^;)
もしかしてヤバイ人?
まあそれだけ緊迫感いっぱいのシーンが展開されるのですから,2時間があっという間に終わってしまいます。
見始めて最初は気が付かなかったのですが,どうもセリフが英語じゃないなと思っていたら・・・・,
セリフは全てイタリア語(ラテン語?)でビックリしました。
出演者もほとんどイタリアの俳優という徹底ぶりでした。
劇中,絵になる構図が何カ所か出てきますが,絵画に疎い僕にはよく分かりません。
たぶん,有名な絵画の1シーンになっている部分があるのだと思いますが・・・
本作ではキリストの受難をある意味ドキュメンタリータッチで描いていきます。
そんな中で所々で出てくる悪魔がアクセントになっていました。

 

 

 

音楽は「鳴らし」系のジョン・デブニー。
ジョン・デブニーにしては静かで荘厳な音楽かなという印象を受けます。
もともとリサ・ジェラードが登板する予定だったそうですが,最終的にデブニーになったという曰く付きの作品です。
そのせいか,リサ・ジェラードに似たアプローチのコーラス・ワークやハンス・ジマー系のメロが出てきます。
メロを奏でる楽器も民族音楽調の物が多く,これに土俗的な打楽器とコーラスが入ります。

 

 

これまでのデブニーとは若干一線を画す音になっています。
しかし,打楽器の力強い音を使ったラストの曲などは,豪快に鳴っており,まさにデブニーの音という感じです。
僕としては結果的にデブにーで正解だったと思います。
リサ・ジェラードではいかにもな感じで,ダークになりすぎたと思います。
全編を通して重苦しい作品なので,それなりの音になっていて決して楽しいものではありませんが,
かなりの力作には違いありません。
それが証拠に本作はその年のアカデミー音楽賞にノミネートされています。