IL PLEUT SUR SANTIAGO
監督: エルヴィオ・ソトー
音楽: アストル・ピアソラ
出演: ジャン=ルイ・トランティニャン、ローラン・テルジェフ、アニー・ジラルド、ビビ・アンデルセン、ベルナール・フレッソン、リカルド・クッチョーラ
1975年 フランス/ブルガリア映画

 

 

 

 

南米チリで実際に起こった軍事クーデターにより、アジェンデ政権が倒れるまでを描く社会派ドラマ。
チリからフランスへ亡命したアルヴィオ・ソトーがメガホンを取っています。
全体をドキュメンタリー・タッチで撮っており、事件を淡々を描いていく手法が重厚で見応えがありました。
この作品、地味なテーマだからでしょうか、ビデオ発売された時は「特攻要塞都市」なんてとんでもない邦題が付けられていました。
パッケージも戦車が全面に出ていて、まるで戦争映画です。
ビデオの解説にも「実録戦争巨編」なんて書いてあります。
これでは借りる側を困惑させるだけでなく、「サンチャゴ・・・」を探しにきたお客さんも見つけることが出来なかったことでしょう。

 

 

 

 

音楽は、タンゴの名手アストル・ピアソラ。
ちょっと前の話になりますが、メジャーどころでは「12モンキーズ」の音楽も担当してました。
時代を反映してか、ピアソラのアコーディオン(ストリート・オルガン)に加えてシンセサイザーを導入して新鮮味を出そうとしています。
僕個人としては、シンセを入れたおかげてイロモロっぽくなってしまって失敗だったかなと思います。
ピアソラの本来の持ち味が生きていないような気がします。
この人の持ち味は、哀しげなメロディーをアコーディオンで奏でるところにあると思うので・・・・。
やっぱりシンセの入っていない曲の方が完成度が高いです。
テーマ曲は凄く物悲しくて美しい。
クーデターという惨劇を逆に美メロで際だたせていました。
サントラCDは、イタリアCAMレーベルから未公開作品「ENRICO Ⅳ」「CADAVERI ECCELLENTI」とのカップリングになって発売されました。
蛇足ですが、実はヘンリー4世を描いたマルチェロ・マストラヤンニ主演の「ENRICO Ⅳ」の音楽の方が「サンチャゴ・・」より素晴らしかったりします。(^_^;)
このCDはピアソラ・ファンにはお勧めの1枚です。