BLADE RUNNER
監督:リドリー・スコット
音楽:ヴァンゲリス
主演:ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス、ダリル・ハンナ、ブ
ライオン・ジェームズ、ジョアンナ・キャシディ
1982年アメリカ映画

もはやカルト・ムービーと化しているリドリー・スコット監督によるSFサスペンスの傑作。
この作品は映画ファンの中には相当思い入れのある方もおられると思うので、
僕のヘタな解説など全く不要だと思いますが、今まで全く紹介したことが無かったので、
思い切って紹介しちやいます。
フィリップ・K・ディックの原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」をもとに、
近未来を舞台に脱走した人造人間(レプリカント)とバウンティ・ハンター(ブレード・ランナー)の追跡劇を描いています。
当時からビジュアル派といわれるリドリー・スコット監督による目を見張る映像美に圧倒されます。
暗くゴミゴミとした狭い街並に雨が降りしきり、道路からは蒸気が立ちこめる、
湿気たっぷりな風景に流れ込むように挿入されるヴァンゲリスのスコア‥・。
これに加えてハリソン・フオードとルトガー・ハウアー、この絶妙な配役が素晴らしい。
特に主役を食ってしまった感すらあるルトガー・ハウアーの存在感には圧倒されます。
でも、この映画、公開当時はさほど注目されなかったみたいで、
僕の出身地松江市(NHK朝の連ドラ「だんだん」でおなじみ)では、
松江中央という映画館でたった1週間かそこらで上映打ち切りになったような記憶があります。
僕はこの映画を実際に観だのは、ビデオになってからの事で、
あのオープニングの目も眩むほどの未来都市の描写もTVの画面で観たのが最初なので、
ぽんと劇場で観た人に比べてすごく損をしていると思います。
是非最初の感動を劇場で味わいたかったなあ。
なおこの映画、カルト化してしまって、公開時にはカットされた残酷描写等が復活した完全版がリリースされたり、
公開から10年後の1992年にはリドリー・スコット自身が手を入れた最終版が公開されました。

音楽は、ギリシャのシンセサイザー奏者、ヴァンゲリス。
本作の公開時、既に「炎のランナー」の大ヒットでサントラ・ファンにもその存在を知られていましたが、
この人、もともとはプログレッシヴ・ロック畑のキーボード奏者で、70年代にはアフロディテス・チャルドというバンドでキーボードを担当していた経緯があります。
ソロになってからも、ビジュアルなセンスを多分に感じさせる多重録音によるシンセ・アルバムをいくつも発売していました。
本作は、正規盤のサントラが発売されるまでに、実に公開から12年という歳月を要していることから、
音楽に関してもカルト化したことで有名です。
公開当時にはサントラが発売される予定で、公開ポスターにはしっかり「サントラ盤ポリドール・レコード」等と書かれていたのに、
ヴァングゲリス側の意向で土壇場になってあっさり発売が中止されたのでした。
そのため、公開後に発売されたオーケストラ演奏によるカバー演奏盤が
しばらくの間はサントラの代わりとしてファンの間でベストセラーになりました。
でも、さすがにシンセで表現された幻想的な音世界をオケで表現するには無理があったようで、
この盤にはかなり不満が残りました。
とはいうものの、参加したメンツは結構豪華で、トム・スコット、イアン・アンダーウッド、リチャード・ティー、チャック・フィンドレー等といった
LAを代表するセッション・ミュージシャンが演奏していました。
その後、音質の悪いオリジナル音源の海賊盤が横行した後、1994になってようやくヴァンゲリス名義のサントラ盤CDが発売されました。
内容的には、実際には本編に使用されていない曲や、再構成し直した曲もあって、
厳密な意味でのオリジナル・サウンドトラックとは言えない部分もありましたが、
それでもこの正規リリースはうれしかったなあ。
その後、いろんなタイプの海賊盤CDが量産されていますが、どれも訳の分からない高額なプレミアがつけられていました。
アーティスト側の意向を無視したこの手の海賊盤には興味がないので聴いたことがありません。
僕にとっては、ヴァンゲリス本人名義でこうして正規盤CDがリリースされたこと、それだけで十分です(^^)/
本作からはエンド・タイトルがCMで使われたりして一般的には有名ですが、
個人的には荘厳で幻想的なオープニング・テーマ、こっちの方が好きです。
当時のSFを振り返ってみると、「スター・ウオーズ」のヒット依頼、
SFにはフルオケの壮大なサウンドというのが定番になっていた時期に、
あえてヴァングリスのシンセのみのスコアを選んだリドリー・スコット監督の音楽センスに脱帽してしまいます。
本作は、映像とスコアが切っても切り離せないほどベストマッチな関係を保っている本当に良い例だと思います。
スコアがあまりに映像にマッチしていたから、音だけ切り離して販売されることにヴァンゲリスが反対してサントラ発売が延期されたのかも‥‥。
そう思ってしまうくらいこのスコアは映像とセットで聴く(観る)ことをオススメします。

あ、そういえば去年公開25周年で3枚組のスペシャル盤が出たのを思い出しました。
こちらの方はまだ未聴なのですが、大幅に増曲されているようで、ちょっと聴いてみたい気がします。



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