THE DARK KNIGHT
監督:クリストファー・ノーラン
音楽:ハンス・ジマー、ジェームズ・ニュートン・ハワード
主演:クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、ヒース・レジャー、ゲイリー・オールドマン、アローン・エッカート、マギー・ギレンホール、モーガン・フリーマン、エリック・ロバーツ
2008年 アメリカ映画

これも結局劇場で観れなかったんだよなあ(T_T)
評判のいい作品なので観たかったのですが、気がついたら終わってました。
シネコンが島根県内に出来たとはいえ、うちの家から50km以上離れてるもんなあ。
新作はどうしても音源だけのレビユーになってしまいます。
ほんとはサントラって映像とセットで観るのが本来のあり方だと思うのは十分承知しているのですが、
相変わらず新作に関しては邪道な聴き方ばかりしています。

「メメント」のクリストファー・ノーラン監督による「バットマン」シリーズ第2弾。
いろんなレビューを見るに、28歳の若さで惜しくも他界したヒース・レジャーの熱演が圧倒的な存在感を残しているよ
うです。
今回はあえて、タイトルに「バットマン」の文字を使わず、「別名」で勝負するところなんかイキだなあと感じました。
かつてティム・バートンやジョエル・シューマッカーが手掛けたこのシリーズを、
「リアリズム」に徹して再構築したようなクリストファー・ノーラン版のバットマンですが、
コスチュームにしても出てくるアイテムにしても、現実にありそうな物を使ってるとこがすごい。
予告編等を見る限り、ストーリーもとことんシリアスで暗く、これが「リアル感」や「硬派」なイメージを増幅させているようです。
あまりにリアルに徹したダークなお話なので、一部ではヒーローものに付きものの「高揚感」とか盛り上がりに欠けるという評
価もあるようです。
まあ、いずれにしても、僕はまだ観ていないのでなんとも言えませんが‥‥・(^^;)
個人的にはティム・バートン版も決して嫌いではなく、コミックの世界を独特のダーク・ファンタジーな世界観で描いていて、
あれはあれで良かったんですけどね。
ヒーローなのに、演じるのが普通のおっさん風のマイケル・キートンっていうのも良かったなあ。


音楽は、ハンス・ジマーとジェームズ・ニュートン・ハワード。
本作は、2回目のコラポということで、この2人の個性が上手く溶け合いこなれてきたなあという印象を受けました。
なんでも、噂によれば2人が一緒にピアノを前にして作曲したとか。
前作「バットマン・ビギンズ」でも感じたことですが、ストーリーが暗いので、音楽も同じようにダークな色彩が濃厚です。
第一印象は、前作よりもアクション・スコアの比重が増えたのかなと思いました。
録音技術の向上も目を見張るものがあり、アクション・スコアで聴かれる低音の迫力はスゴイの一言。
でも、これが強調されるあまり楽曲としての良さが音圧の影に埋もれてしまっているという感じです。
派手なんだけど、メロだけ抽出すると意外に薄味なのは最近のアクション・スコアによくあるパターン。
最近のアクション・スコアって、完全に伴奏に徹していて、肝心の歌メロは派手な「映像」が担当してるって感じです。
というのも、CGを多用した目まぐるしい映像に釘付けになって、肝心のスコアがあんまり耳に入ってこないのも正直なところで、
メロなんか無くても後ろで賑やかに何か鳴ってるなというだけでも効果は十分という気もします。
まあ、ジェームズ・ニュートン・ハワードは無味乾燥なスコアが多い人だし、
ハンス・ジマーも、もともとは「燃え」系なんだけど、僕のキライな今時の「ジャジャジャ、ジャジャジャ・‥」スコアの源流を作った人だし、そう考えるとメロが薄味なのは仕方ないことなのかなと思います。
そんな中で驚いたのは1曲目、普通の映画音楽家では作れないようなインダストリアルでアンビエントな音、
この硬質で冷たい彫刻のような音とリズムの構築方法は、作曲に参加した他のメンバーの功績によるところが大きいんではないかと思います。
別々のパーツに分けられた全く質感の違う音を、エディットしてツギハギしたようなスコアが斬新でした。
個人的には、この1曲目が一番好きかも(^^;)
本編がダークだから、スコアに妙な「高揚感」を求めてもいけないんでしょうが、
このスコアは映像とセットで観なければ本来の良さは今ひとつよく分からないのかも知れません。
むしろメロが変に主張せず抑制の利いたところが、「クール」なカッコよさを狙っているのかも。
おそらく映像との相性は抜群で、素晴らしくマッチしていると想像するのですが‥‥。



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