GRAN TORINO
監督: クリント・イーストウッド
音楽: カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス
出演: クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ、 ドリーマ・ウォーカー
2008年 アメリカ映画




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今や監督としても巨匠の域に達したクリント・イーストウッドが4年振りに自ら主演して撮った感動のドラマ。
この映画に関しては、いろんな人が素晴らしい映画評を書いておられるので、
サントラ・レビューがメインのうちとしては、本編に関してはあんまり小難しいことは書きませんが、
長年「クリント・イーストウッド」の作品を観てきたファンの1人としては、
特別な思い入れの残る傑作であることには間違いありません。
彼が演じてきたヒーローの老後みたいな感じで、かつてのハリー・キャラハン等がオーバーラップします。
ストーリーは、奥さんに先立たれた孤独な人種差別主義者の頑固じいさんが、息子や娘、孫たちにも心を開かず、
頑固一徹、朝鮮戦争でのかつての敵であるアジア人種を嫌い、教会にも行かず、常に周りには悪態をついています。
そんなじいさんが、隣人のアジア系移民の弱虫息子が街のアジア系不良グループに絡まれているのを見かけ、ライフルを持ち出して追い払ったことがきっかけで、
隣の母娘がじいさんの勇気ある行動に感激して、このアジアン移民一家と頑固ジジイとの交流が生まれます。
アジア系人種を毛嫌いしていたじいさんは、そのうち弱虫息子のことを何かと気に掛けてやるようになりますが・・・・というお話。
感動のドラマなのですが、ユーモアのセンスも抜群。
個人的には、イタリア人の床屋のおっさんとの毒舌トーク合戦が大笑い。
お互い長い付き合いで心の底から信頼し合っているからこそ言える毒舌の数々。
散髪してもらっておいて散々悪態をついて帰るイーストウッドに、
床屋のおっさんが「また来いよ、バカタレ。」と言い放つシーンが最高にツボでした。
ネタバレになるのでラストは書きませんが、この役を演じてしまった後、イーストウッドは他に演じる役があるのでしょうか。
俳優としては、もう主演しないつもりでケジメを付ける意味で撮ったような感じも受けます。
ラストは呆然とする傍ら、ジワジワと爽やかな感動がわき起こってきます。
しかし、本作がアカデミー賞から無視されたのが、全く理解できません。





音楽は、イーストウッドの息子、カイル・イーストウッドと彼のパートナー、マイケル・スティーヴンス。
この映画で一番心に残るのは、エンディングで流れる、イーストウッドとジェイミー・カラムが歌う主題歌「GRAN TORINO」でしょう。
ピアノとストリングスをバックに2人が順番に歌うこの曲は、クリント・イーストウッド、カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス、ジェイミー・カラムの共作ということになっています。
実際は、曲全体はカイルとマイケル、イントロの部分はクリント・イーストウッドが適当にピアノで弾いたフレーズを持ってきて、
歌詞をジェイミー・カラムが手がけたそうです。
とても印象的なメロを持った落ち着いた曲で、映画を見終わった後もいつまでも頭に残る曲です。
ただ、しわがれ声のイーストウッドの歌は、ちょっとトム・ウェイツを意識したような感じで、ちょっと不自然
な印象も受けます。
ジェイミー・カラムは、イギリス出身の20代前半のジャズ・ミュージシャン。
自身の最新作では、ジャズにこだわらずビートの利いたロックな曲も披露しています。ジャズ・ミュージシャンであるカイル・イーストウッドの人脈から、今回、主題歌を歌うことになったようです。
ハリー・コーニックJr.あたりが引き合いに出される、弾き語り中心の若手ジャズ・シンガーです。
結構、いい声してると思います。
劇伴では、アジアン少年がじいさんの家を修理していくモンタージュ・シーンのトラックが良かったなあ。
あのシーンは、セリフが無いので映像をバックにスコアを堪能できました。
地味だけど心揺さぶるスコアなんですが、残念ながらスコア盤サントラは発売されていません。
ダウンロード限定でもいいから出して欲しいなあ。
主題歌は、かろうじてi-tunes等のダウンロード販売で入手可能です。




・・・と、ここまでが過去記事。

かつて10曲入りのプロモ盤CDがあったようですが、普通に流通することなく、ダウンロード版にもなっていません。


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