THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI
監督:マーティン・マクドナー
音楽:カーター・バーウェル
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ルーカス・ヘッジズ、ケリー・コンドン、ダレル・ブリット=ギブソン
2017年 イギリス/アメリカ映画

ブラックなユーモアを交えつつも、そう笑えない衝撃のサスペンス。
ストーリーは、最愛の娘を何者かに暴行された挙句焼き殺された母親が、なかなか警察の捜査が進展しないことに業を煮やして、
街はずれに怒りの言葉を書き連ねた巨大な看板を何枚も建てます。
母親は、マスコミからも注目を集めるようになりますが、街の警察官や警察署長を慕う住民たちからは大いに反感を買い、
看板の撤去を求める者や彼女に嫌がらせをする者も出てくるようになる・・・・・というお話。
結末は観る者に委ねられる形で終わりますが、なんともスッキリしない。
そもそも主人公の女性に味方する人間が次第に多くなっていくことが理解できない。

おばさんが相当無茶苦茶なことしてるのに罪に問われないという、ある意味荒唐無稽なシーンも多数。

放火はするわ(しかも何故そこを放火するのか分からない)、歯医者に傷害を負わせるわ、

これで何故逮捕されないのか不思議でなりません。

共感できないまま、最後まで突き進むので、グイグイ引き込まれるものの、

おっさんとしてはなんとも不完全燃焼な作品でした。
ストーリー展開よりも、ベテランたちの卓越した演技を楽しむための映画なのかもしれません。
ウディ・ハレルソンが市民から慕われる良識ある警察署長役を演じていますが、彼もそういう年齢になったんだなあとしみじみ・・・。
そういえば、マーティン・マクドナー監督作品って、初めて観たなあ。
イギリス人監督が描く現代アメリカというのも興味深いものがあります。


 

 

 

 

音楽は、カーター・バーウェル

冒頭、アコースティックかつトラッドな雰囲気のスコアが登場するなど、

いかにもカーター・バーウェルらしいスコアです。

この人特有の乾いたトーンのスコアがカッコいい。

昔からライトの感覚のスコアが得意な人で、非常に聴きやすいスコアに仕上がっています。

劇伴の中には、ちょっとマカロニウェスタンぽい雰囲気の曲もあり、

この曲ではリズムボックスがリズムをとっていて、なかなか珍しいタイプの曲です。

地味めのスコアですが、ちゃんとモチーフもあり、統一感があります。

いつもながらの安定のスコアだと思っていたら、2017年のアカデミー作曲賞にノミネートされていました。

スコア以外の挿入曲もフォーキーだったり、ブルースやカントリーだったり、スコアとの親和性は

Townes Van Zandt 、Monsters Of Folk、Renée Fleming, Jeffrey Tate & The English Chamber Orchestra、The Four Tops、Joan Baezなどの曲が挿入されています。

サントラは、CDとLPが発売されていますが、珍しくダウンロード版は発売されていないようです。