THE KILLER
監督:デヴィッド・フィンチャー
音楽:トレント・レズナー、アッティカス・ロス
出演:マイケル・ファスベンダー、アーリス・ハワード、チャールズ・パーネル、ケリー・オマリー、サラ・ベイカー、ソフィー・シャーロット、ティルダ・スウィントン
2023年 アメリカ映画


 

デヴィッド・フィンチャー監督によるグラフィックノベルが原作のサスペンスノワール。

「セブン」のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが脚本を書いています。

ストーリーは、凄腕の殺し屋がクライアントから依頼されたターゲットの狙撃に失敗し、命を狙われることになります。隠れ家にいた恋人が刺客に襲われて瀕死の重傷を負ったことから、殺し屋は復讐を誓い、恋人に手をかけた刺客やそのバックにいる人物を一人ずつ始末していく・・・というお話。

ハードボイルド調の語り口で、冒頭からずっと主人公の独り言が入っています。

色調を抑えた地味な映像が往年のハードボイルド映画を彷彿とさせます。

淡々とした語り口がなかなかカッコいい。

暗殺者が単身で組織に復讐するシンプルかつストイックな展開で、

順を追って淡々と復讐を遂げていきながらも、中盤に野獣のような男とのガチンコバトルも用意されていて、

アクションもしっかりあります。

Netflix作品ですが、配信に先立ち一部劇場で公開されているようです。

 

 

 

 

音楽は、トレント・レズナーとアッティカ・ロスのNINコンビ。

冒頭からテクノなスコアが登場し、なんとなく画面の切り替わりが「セブン」を思わせます。

前半はヒーリング系の空気のようなスコア多い印象です。

冒頭の暗殺シーンでは、緊迫するはずのシーンに静かなスコアが提供されていて、

何となくブライアン・イーノの環境音楽を思わせます。

劇伴は基本的にピアノの短音とストリングスシンセによる静かなものや、

音響系のダークなアンダースコアが多く、モチーフのようなものはありません。

スコアには基本的にビート感のあるものはありません。

ビートのあるものといえば、劇中で主人公が好んで聴くThe Smithsの曲の数々がその役目を追っているような感じです。

The Smithsの曲はエンド・タイトルも含めてたくさん流れるので、The Smithsファンは楽しめると思います。

復讐が始まるところから、不気味でこもった音のプニョブニョなベース音のシンセが入り始め、サスペンスを盛り上げます。

これはベース音だけのシンプルなトラックですが、効果抜群です。

その他、バックに僅かにガムランが被さる曲があったり、劇中のアクションシーンの音声を一部挿入したスコアもありあす。

フィルムノワールに硬質なノイズミュージック、それもアリかなという感じの面白いスコアになっています。

サントラは、i-Tunesでダウンロード版が発売されていますが、Amazonではヒットしないようです。