TOM HORN
監督:ウィリアム・ウィアード
音楽:アーネスト・ゴールド
主演:スティーヴ・マックイーン、リンダ・エヴァンス、リチャード・ファンズワース、スリム・ピケンズ、ビリー・グリーン・ブッシュ、ペーター・キャノン
1980年 アメリカ映画
スティーヴ・マックイーンの遺作となった西部劇。
西部開拓時代の実在の人物トム・ホーンの波乱に満ちた半生を描いています。
ストーリーは、若い頃は戦争や賞金稼ぎで活躍した男が、ワイオミングの牧場主たちに用心棒として雇われます。彼は牛泥棒などの悪党を次々と退治していきますが、
彼の荒っぽいやり方に牧場主たちは恐れを抱くようになり・・・というお話。
画面いっぱいに描かれる大西部の優雅な自然をバックに、マックイーンの最期の名演を堪能することができます。
おっさんの中ではマックイーンは口数が少なくて飄々とした演技の印象があるので、低予算で製作された起伏の乏しい西部劇ではありますが、地味ながらおっさんとしては割と好きな作品。
監督のウィリアム・ウィアードは他の監督(ドン・シーーゲルという噂も)が降板した代役だそうで、劇場用作品の経験もなく、実質はマックイーンが監督してたのではないかと言われているそうです。
ドン・シーゲル版のトム・ホーン観たかったなあ。
音楽は、アーネスト・ゴールド。
メインタイトルは、戦争映画を思わせる雰囲気を持ったスコア。
ミリタリー調のスネアがバックに入るので、西部劇と言うよりも戦争映画のそれに近い感じがします。
ザクザクと切り込むタイプのスコアで、西部劇にしては大袈裟な感じもしますが、力強いスコアです。その一方で劇伴の方は、西部劇の王道スコアという趣で、西部劇スコアならではの安定感があります。
エルマー・バーンスタインあたりを彷彿とさせるテーマモチーフもちゃんと劇伴に生かされていて、さすが巨匠というところでしょうか。
アクションシーンでは、派手に鳴らす場面もあり、全体的に躍動感のある上質なウェスタンスコアという印象です。劇伴が総じて地味だった「戦争のはらわた」とは対照的なスコアです。
公開時にはサントラは発売されず、今年、米buysoundtraxレーベルからめでたくCD化されました。500枚限定で、テレビシリーズの「Lincoln」(1988)とのカップリングです。本作品からは11曲が収録されています。