ASTEROID CITY

監督:ウェス・アンダーソン

音楽:アレクサンドル・デスプラ

主演:ジェイソン・シュワルツマン、トム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ティルダ・スウィントン、ジェイク・ライアン、グレイス・エドワーズ、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ブライアン・クランストン、マーゴット・ロビー、スティーヴ・カレル、ウィレム・デフォー

2023年 アメリカ映画






毎回ユニークな作品を届けてくれるウェス・アンダーソン監督の新作。

「グランド・ブタぺスト・ホテル」がピンク色の映画なら、これは黄色い映画。

相変わらず色彩感覚が素晴らしいなあとしみじみ思いながら鑑賞を始めたのですが・・・こ、これは、大ハズレでした。

ストーリーは、1950年代のアメリカを舞台に砂漠の小さな町で子供向け科学コンクールの表彰式が開催され、5人の天才少年少女が家族とともに招待されます。ところが、表彰式はある珍客の来訪により政府や軍を巻き込んだ大騒動に発展する・・・と言うお話。

このお話を三重構造で描いているからややこしい。

まず白黒映像で映画の語り手がいて、次に劇中劇の作り手たちがいて、その下にカラー映像の本編があって・・・と言う構造になっています。

ざっくり言うと、ナレーター付きでテレビ番組の制作過程と制作された番組を見せられている感じです。

某女優さんの全裸(ボディダブルかも)が一瞬だけ鏡越しに映るので、そこだけハッとしますが、基本的には登場人物たちの冷めた会話劇がダラダラと続きます。

この映画、いつもの群像コメディなのですが、ウェス・アンダーソン監督作品史上、最高につまらなかった。

一緒に観ていた妻が早々に寝てしまいました💤

おっさんも何が面白いのか全く理解不能でした。

好きな監督だっただけに、どうしちゃったの?という感じでした。

玄人受けを狙った作品だったのでしょうか、映画を深読みする気などさらさら無いパチモン専科のおっさんは全く受け付けませんでした。

観はじめてから、何かおかしいなあと思いつつ、何とかこの作品の良さを見つけ出そうと頑張って目を皿のようにして観たのですが、ダメでした。

画面は明るいですが、前衛作品を観せられている感覚でした。

これ、劇場で観なく良かったわ。

いつもながら、キャストだけは豪華です。





音楽は、ウェス・アンダーソン作品の常連、アレクサンドル・デスプラ。

同監督作品によく登場するピアノのコロコロというリフレインが面白い。

このフレーズが常に劇伴のバックで鳴っています。

ユニークな挿入歌も面白いのですが、如何せん話がつまらないので、スコアも楽しめません。

今回も、劇中スコアはちょっぴりで、本編のバックに流れるのは、ジョニー・ダンカン&ザ ・ブルーグラスボーイズ、スプリングフィールズ、レス・バクスター、ボブ・ウィルズ&テキサス・プレイボーイズ、パッヘルベル、テックス・リッター、ビル・モンロー、バール・アイヴス、スリム・ホイットマン、テネシー・アニー・フォード、エディ・アーノルド、レス・ポール&メアリー・フォード、ビング・クロスビーなどの1650年代のオールドな歌ものの数々(このあたりの選曲センスはさすが)。

この他になぜかジャービス・コッカーの不気味な(失礼)ソロボーカル曲が入ってます。

本編は一般受けしない残念な出来ですが、サントラは雑多な曲が統一感を持ってセレクトされていて、相変わらず素晴らしい。

現在、ダウンロード版が発売されています。