SISU

監督:ヤルマリ・ヘランダー

音楽:ユリ・セッパ、トゥオマス・ヴァイノーラ

主演:ヨルマ・トンミラ、アクセル・ヘニー、ジャック・ドゥーラン、ミモサ・ヴィッラモ、オンニ・トンミラ

2022年 フィンランド映画





珍しいフィンランド製の戦争アクション。

第二次世界大戦が背景になってはいますが、中身は数十人の悪党と1人の元特殊部隊員の戦いという、結構使い古された構図の愛すべきB級作品です。

ストーリーは、金脈掘りをして生計を立てている初老の男が、発掘した金を町へ換金しに行く途中で、ナチスの部隊と遭遇します。行く先々で暴虐の限りを尽くすナチスは男が金塊を持っていることを知ると、男を殺して金を奪おうとしますが、実はこの男はかつてソ連軍の部隊を1人で殲滅した元特殊部隊員だったことから、ナチス部隊は次々とこの男の餌食となっていく・・・というお話。

おっさんお気に入りの第二次世界大戦もののB級アクションです。

ちょっと残念だったのは、時代考証が甘いこと。

ナチスの戦車が旧ソ連軍のT62と思しき戦車でした。

ろ獲したT34ならまだしも、戦後に製造された戦車を使ってはダメでしょうという感じでした。

ナチスの連中の軍服も崩しすぎのヤンチャなスタイルで考証的にどうなのかなと思いますが、この際そういうことはあまり気にしない方が良いのかも知れません。

ゴア描写はR15+だけあって容赦がありません。

地雷で兵士や馬が吹っ飛んだり、ナイフで頭を串刺しにしたり、やりたい放題です。

主人公のじいさんはまさに不死身の男、乗ってる飛行機が墜落しても死にません😅







音楽は、ユリ・セッパとトゥオマス・ヴァイノーラ。

ホーミーのような男性コーラスの入った不気味なスコアが冒頭で登場します。これが一つのモチーフとなって劇伴の中で何度も出てきます。

ナチスのモチーフはノイジーかつ硬質なインダストリアル調のスコアで表現されてきます。

女性ソプラノやエレキギター、鐘の音などマカロニウエスタンスコアのテイストも盛り込み、孤高で無敵な男を表現しています。

劇伴は、重苦しい空気を漂わせる雰囲気重視のアンダースコアが中心ですが、アクションスコアになるとジョン・カーペンターを思わせるシンセベースのトラックやハードロック調のインストが登場し、本編後半にはハードなテクノトラックに変化します。

エンドタイトでは、ストリングスにメロが付けられ、劇伴で使われたエレキや鐘などの小ネタが再び登場し、ヒロイックな雰囲気があります。

サントラはダウンロード版しかありませんが、エンドタイトルもしっかり収録されていて好感が持てます。